2回目購入時の客単価が845円も下がった理由

突然ですが、
あなたは、初回購入時の客単価が、次回購入時に強く影響を与えるということを知っていますか?

私は、知りませんでした・・・。
今回の分析結果を見るまで、初回購入時の客単価が、次回購入時の客単価を上げたり、下げたりする大きな要因になるとは思っていなかったんです。

しかし、
ベビー服EC『べびちゅ』で2016年8月に初めて購入したときの客単価と2016年9月に2回目の購入をしたときの客単価を比べてみたことで、その考えが間違っていたことを知りました。

そして、その解決のきっかけとなったのが、アンカリングという認知バイアスがあることを知ったことです。

ウィキペディアでは、アンカリングについて、次のように説明されています。

アンカリングとは認知バイアスの一種であり、先行する何らかの数値(アンカー)によって後の数値の判断が歪められ、判断された数値がアンカーに近づく傾向のことをさす。
例えば、「国連加盟国のうちアフリカの国の割合はいくらか」という質問をしたときに、質問の前に「65%よりも大きいか小さいか」と尋ねた場合、「10%よりも大きいか小さいか」と尋ねた場合よりも、大きい数値の回答が得られる

もし、アンカリングを意識しなかったら、
初回購入時と2回目の購入時の客単価を比べることはなかったかもしれません。
そして、初回購入時と2回目の購入時の客単価を比べることがなければ、べびちゅの客単価に対する考え方を大きく変えることもなかったことでしょう。

そんな初回購入時の客単価が2回目の客単価に与える影響。
うまくビジネスに活用して、売上向上に役立てたいと思いませんか?
今回、そんなあなたのために『初回購入時の客単価が次回購入時に与える影響』についてまとめましたので、説明したいと思います。

それではまいりましょう。

客単価が845円下がった理由

今回、2016年8月に初めて購入したときと2016年9月に2回目の購入をしたときの客単価を比較しました。
初回購入時(2016年8月)と2回目購入時(2016年9月)の客単価は、それぞれ7,455円と6,630円になりました。
つまり、845円も単価が下がったんです。

そもそも、この期間をサンプルに選んだのは、2016年8月には2000円以上で送料無料だったのを、2016年9月から8,000円以上で送料無料に変更したタイミングだったからです。
なので、次のどちらかの結果を予想しており、それを確かめたかったんです。

  • 送料無料の下限を引き上げたことにより客単価が上がる
  • 初回の購入金額でアンカリングされ、あまり変わらない

しかし、その予想は見事に外れました・・・。

何が起こっているのでしょう?
詳しく調べるために8月と9月の客単価を比べ、何%増減しているかを調べました。
増減率を求める式は、次のとおりです。
前月からの客単価の増減率 =(9月の客単価 - 8月の客単価)/ 8月の客単価

増減率 割合 小計
50%以上 22.4% 42.4%
30%以上50%未満 4.0%
10%以上30%未満 8.0%
0%以上10%未満 8.0%
-10%以上0%未満 8.8% 57.6%
-30%以上-10%未満 16.0%
-50%以上-30%未満 8.8%
-50%未満 24.0%

0%以下、つまり、前月より客単価が下がった割合は、57.6%です。
つまり、6割近くですね。

この数値は客単価があまり変化しない場合、50%に近づきます。
客単価があまり変わらない例として、2017年3月と4月の前月からの客単価の増減率を記します。

増減率 割合 小計
50%以上 25.7% 52.9%
30%以上50%未満 8.6%
10%以上30%未満 8.6%
0%以上10%未満 10.0%
-10%以上0%未満 5.7% 47.1%
-30%以上-10%未満 11.4%
-50%以上-30%未満 12.9%
-50%未満 17.1%

前月より客単価が下がった割合は、47.1%です。

本当のアンカリング

この結果を受けて、弊社では、次の仮説を立てました。
『お客様は、支払った金額ではなく、お店そのものにアンカリングしている』

つまり、
『初回の買い物の体験を通して、安い買い物が出来るお店というアンカリングをした』
のではないかと考えたのです。
なので、できるだけ安く買い物しようという意識が働きやすくなったと考えています。

同様に、
2017年3月の初回購入のあと、4月にも購入した人の客単価についても、数字を見ていきます。
なぜこの時期を調べたかというと、8,000円以上購入で送料無料にした2016年9月から半年が経過し、だいぶ客単価が高い位置で安定してきたので、高い客単価の場合、どうなるかを知りたかったからです。

その結果、
客単価は3月9,924円、4月9,819円となりました。
少し下がってはいますが、ほぼ同水準と言えるレベルだと思います。
3月の初回購入のお客様は、高い買い物をしたことによって、べびちゅは高い買い物をする場所だとアンカリングしたのでしょう。

このように、お客様は、初回購入時の客単価でお店の格付けしているようです。
もしそうだとしたら、初回購入時、安い客単価で買い物をしてもらうことで低い格付けをもらうより、高い買い物を楽しんでもらうことで高い格付けをもらったほうが、ショップにとってありがたいと思いませんか?

べびちゅでは、さらに初回購入時の客単価を上げる施策を2017年6月より実施しています。
その結果がどうだったのかは、8月には報告出来ると思います。
楽しみにしておいてください。

あと、実は・・・。
初回購入時の客単価が高いお客様には、もうひとつの特徴があったんです。
その特徴については、次回の記事で紹介したいと思いますので、楽しみにしておいてください。

まとめ

  • 初回購入時の客単価が低いと次月の客単価が下がる傾向にある
  • その理由は、お客様が、初回の買い物によってショップの格付け(アンカリング)をしたためだと考えられる
  • つまり、ショップに安い買い物をするところだという格付けをすると、次の買い物もあまり高い買い物をしなかったり、あまりお金を使わない傾向になるためだと弊社では考えている
  • 逆に、初回に高い買い物をすると、次回の買い物でも、高額商品を購入したり、高い客単価での買い物をする傾向がみられた
  • これらの結果から、『初回購入時に、お客様はショップ自体の格付けを行い、その格付けに従って、次回以降の買い物をする』という仮説を立てた

記事を書いた人

加藤

在庫削減と仕入れ最適化の講座を担当しています。このレクチャーを読んでいただいたECショップのみなさまの在庫がうまく削減され、仕入れが最適化されればという思いで、執筆しました。 ご質問などありましたら、問い合わせフォームからお送り下さい。順番に返信させて頂きます。